果物?野菜?どちになってもおいしいですよ、女性にとても良いアボカド

アボカド英語Avocado[注 1]学名Persea americana)とは、クスノキ科ワニナシ属の常緑高木およびその果実。和名はワニナシ(鰐梨)。

目次

アボカドの紹介と特徴

中央アメリカが原産。低温に弱く、主に熱帯亜熱帯で生育する。野生のものは樹高が30メートルほどになる。果樹園の栽培では接木法をとり、整枝もするのでそこまでは高くはならないが、それでも10メートルほどの高さになる場合もある[2]。樹形は品種によって異なるが、の寿命は短く1年ほどで、新梢伸長期には大量落葉する[3]。濃い緑色の果実をつける。5月頃にが咲き、果実の収穫は翌11月から12月頃以降。日本産の植物でもっとも近縁なものはクスノキ科タブノキ[4]。クスノキ科の植物の葉を食べるアオスジアゲハやその仲間の種の食草である。

アボカドがいつ頃から食物としてヒトに利用されてきたのかは定かではないが、紀元前500年にメキシコで最初に栽培された[5]。また、西暦900年頃のものと見られるアボカドの実をかたどった土器が、ペルーチャン・チャン遺跡から出土している[6]。アボカドの名が初めて英語に登場したのは1696年のことである[5]アメリカ合衆国でアボカドが初めて紹介されたのは1871年のことであり、メキシコの樹木とともにカリフォルニア州サンタ・バーバラにてお披露目となった[5]

栽培については、中南米で果樹として数百年以上に亘って栽培され続けており、遅くとも13世紀から15世紀頃までには栽培が行われたとされている。少なくともヨーロッパからの侵略者がやってきた時点では、既にアメリカ大陸(南北両方)の熱帯地方のあちらこちらで栽培が行われていた[7]

果実の成熟に10か月から15か月要する上、大量の栄養分が必要であり、アボカドの枝は隔年で実を付けるようになる。多くの品種があるが、木全体で隔年結実する種と、枝ごとに隔年結実する種がある。枝ごとに隔年結実する種では、木全体としては毎年実をつける[8]

アボカドの種子は果実としては比較的大きいが、これはアメリカ大陸で既に絶滅した巨大動物に合わせて共進化したものだと考えられている[9]

良質な不飽和脂肪酸に富み「森のバター」「グリーンゴールド」「食べる美容液」と称される[10]

出典[編集]

  1. ^ “Oil, avocado”. ndb.nal.usda.gov. 2020年10月28日閲覧。
  2. ^ 米本(2007)39-40頁
  3. ^ 米本(2007)40,50頁
  4. ^ 米本(2007)41頁
  5. a b c d e f Hass Avocado Composition and Potential Health Effects Mark L. Dreher and Adrienne J. Davenport, Crit Rev Food Sci Nutr. 2013 May; 53(7): 738–750. Published online 2013 May 2. doi:10.1080/10408398.2011.556759
  6. ^ Barry, PC (2001年4月7日). “Avocado: The Early Roots of Avocado History”. Canku Ota. 2007年12月29日閲覧。
  7. ^ 農文協 編集 『果樹園芸大百科 17 熱帯特産果樹』 p.33 農山漁村文化協会 2000年3月25日発行 ISBN 4-540-99347-X
  8. ^ 米本(2007)62頁
  9. ^ Why the Avocado Should Have Gone the Way of Dodo スミソニアン・マガジン October 24, 2013(スミソニアン協会本部)2020年1月2日閲覧

食用

アボカドの果実は、サラダタコスサンドイッチハンバーガー巻き寿司カリフォルニアロール)の具材として用いられることが多い。

メキシコはアボカドの生産量・消費量ともに世界一であり、ペーストにしたアボカドにトマトタマネギ、香味野菜、唐辛子サルサソース[注 5]を加えた「グワッカモレ」(ワカモーレ)は一般的なディップで、トルティーヤのチップスで掬って食べたり、各種の料理のソースにしたり、様々な料理にも加えられる[18][19]

日本では、刺身を食べる時と同じ要領で、ワサビと醤油に浸して食べたり(マグロトロの味がすると言われる)、巻寿司にしたり、マヨネーズに付けて食べることもある。和風ドレッシングのサラダにも合う[20][21][22]

日本で売られているアボカドのほとんどはメキシコ産ハス種であり、一年中出回っているものの美味しい時期は3月から9月である[23]チリ産、ペルー産、ニュージーランド産のアボカドも日本で出回るようになったが、メキシコとは季節が逆の南半球であり、旬の時期は10月から1月になる[22]。ニュージーランドではサラダにすることが多く、バターの代わりにトーストに塗ったり、アイスクリームにしたりもする。サーモンと合わせて食べる場合もある[22]。カリフォルニア産のアボカドも輸入されることがある。

アボカドは不飽和脂肪酸が豊富であり、「アボカドオイル」の材料にもなる。このオイルは食用だけでなく、石鹸の材料にもなり、ブラジルではアボカドで作った石鹸も多い[24]

アボカドの実は樹上では軟らかくはならず、収穫後に追熟させることで軟化して食べ頃となる。日本の店頭で販売されているアボカドは完熟していないものが多いが、常温で放置することで食べやすくなる。熟すと果皮の色がより黒っぽくなるが、熟しても緑色のままの品種もある。表皮を軽く押してわずかに柔らかさを感じるほどに軟化すれば食べ頃の目安となる。なお、17で追熟させると黒くなる前に軟化する。21℃程度が追熟には一番よく、27℃以上か、4.5℃以下の状況では変色する[25]。食べごろに変色した時の色が付いたシールが貼られているものもあり、シールと同じ色になれば食べ頃だと判断できる。

果肉はきれいな薄緑色であるが、空気に触れていると茶色に変色する。レモンのような酸をかけることで、変色を抑えられる。

日本での栽培と品種

和歌山県南部、鹿児島県奄美大島沖縄県高知県愛媛県[48]のように、比較的温暖な地域で栽培されている。出荷量は2016年産で約8トン(農林水産省まとめ)と、輸入量(2018年に約7万4000トン)に比べると遥かに少ないが、栄養豊富なことから需要が増えていること、同じく温暖な気候に合う柑橘類耕作放棄地を利用できる点から、長崎県で栽培が広がっている[49]。個人レベルで発芽生育させ、観葉植物として楽しむことは比較的容易であり、寒冷地の露地植えを除いて越冬も可能である。

栽培法の一例として、まず種子をよく洗って果肉を取り除き、上端(果実の柄に近い部分で、やや尖っている)を上にし、3分の1ほどを球根水栽培の要領で水に浸けておく。陽当たりの良い場所に置いて水位を保ち、水が腐らないように水替えしながら育てると、夏場で1週間、冬場で7週間ほどで発根し、さらに発芽する。

発芽した後は、腐葉土ミズゴケといった保水性の高い用土に植え替える。過剰な水分は木を弱らせる。温暖地であれば、水洗いした種子を直接庭や用土に播種してもよいが、冷蔵庫で一旦冷やされたアボカドは発芽しない場合が多いので注意が必要である。発芽率がよくない場合は、流通過程で冷蔵されている可能性もあるので購入店舗を変えてみるのも一つの方法である。

発芽した後の成長は速く、栽培条件が良ければ、1年間で0.5~1m程度の高さになるが、観葉植物として仕立てるには、成長段階で適宜剪定して樹形を整える必要がある。初夏や夏に植えると、充分に成長する前に冬を迎え、枯れてしまう場合も多い。桜の開花時期以降である4月頃に種を植えるのが最適である。高温多湿および比較的湿気の多い土壌を好み、寒さには弱く、露地植えの場合は、雪や霜に直接あたらないよう注意する。低温や低湿度に弱いため、年間を通じて10℃以上ある地域でなければ露地栽培は難しい。短期間でも氷点下ではほぼ枯死するため、屋内でも10℃以下の環境は避けるべきである。ただし、同じハス種でも品種によって耐性に差があり、15℃未満でも成長を続けるものもあれば、落葉して幹だけになってしまうものもある(幹が枯死しなければ、春以降に芽吹く可能性がある)。グアテマラ種の交配種は、かなりの低温に耐えるとされる。

また、露地栽培で、芽や葉が出たばかりの高さ5~10cm程度の状態で、初夏や夏を迎えてしまうと、気温が高くなって活動が活発になったダンゴムシナメクジが夜間に大量に群がって新芽を食い荒らし、枯れてしまう場合がある。

開花・結実させることも可能で、早ければ数年で開花に至る。ただし、雄花と雌花の咲く時期が違うので、1本の木だけでは受粉させられず、確実に結実させるには、かなりの個体数が必要になる。

アボカドには3系統1000品種以上があるといわれる。日本のスーパーマーケット八百屋で売られているものは、皮がゴツゴツしており、熟すと黒くなるハス種である[10]。ハス種は皮が厚く、長距離輸送や栽培が容易で多産であり、熟すと黒くなることから、消費者に食べ頃がわかりやすい利点で他の品種を席巻して栽培・販売されるようになった[10]。ハス種はメキシコで多く栽培されているが、系統的にはメキシコではなくグアテマラである。ハス種は生産量では他の品種を圧倒しているが、皮が厚くゴツゴツして熟すと黒くなるその性格は、1000種以上あるアボカドの中ではむしろ少数派である。寒さに弱いアボカドの中でも比較的寒さに弱いハス種は日本での栽培には向かず、ベーコン種やフェルテ種が向き、ほんの少量ではあるが、高知、和歌山、南九州でも生産されている。ベーコン種やフェルテ種は、皮は滑らかで、熟しても黒くはならない。南アフリカではフェルテ種の栽培も多い[26]

実の大きさは品種によってさまざまで、小さいメキシコーラ種では100グラム前後、大きいアナハイム種では500グラムから900グラムになる。西インド諸島での品種は1キログラムを超えるものもある。しかしながら、市場では大きすぎる品種や小さすぎる品種は取引されない。世界で最も生産量が多く、日本の市場では大部分を占めるハス種は200~340g、ハス種に次いで多いフェルテ種は220~400gの大きさである[27]

  • メキシコ系 – 葉にアニスの香りがあり、果皮が薄い。タネが大きく可食部は少ない。アボカドのなかでは耐寒性があり、味は濃厚である。
  • グアテマラ系 – 日本で売られているアボカドのほとんどはハス種であるが、ハス種はグアテマラ系である。グアテマラ系といっても実の大きさは品種ごとに様々だが果皮は厚い。葉にアニスの香りはない。他のアボカド系統と比べると、種は小さめで、可食部は多めである。
  • 西インド諸島系 – 葉にアニスの香りはなく、実の大きさは品種ごとに様々だが、果皮は薄い。寒さに弱いアボカドの中でも西インド諸島系は最も寒さに弱い。日本では唯一沖縄県でのみ栽培が可能である[27]

品種は1000種を超え栽培品種は一部であり、細部はよく分かっていない品種も多い。

  • ハス種 – 前述したようにアメリカを始め世界の多くの国ではアボカドといえばハス種である。日本国内で流通しているアボカドの99パーセントはハス種である。グアテマラ系[28]
  • フェルテ種 – ハス種が主流になる前はフェルテ種が最も多く栽培されていた。アボカドの中では比較的低温に強く、現在でも世界で2番目に生産量が多い。食味は濃厚で美味しいが、熟しても黒くはならず、食べ頃が分かりにくく、収穫後の日持ちもハス種より悪い。南アフリカではアボカド生産量の45%をフェルテ種が占めるほか、イスラエルでは15%、スペインでは14%のシェアを占める。フェルテ種は、メキシコ系とグアテマラ系の交配種である[28]
  • ベーコン種 – フェルテ種同様熟しても緑色のままで食味は濃厚。フェルテ種よりもさらに低温に強い。日本の温暖な地域ならば栽培も可能。世界ではスペインでシェア9%、アメリカ合衆国カリフォルニア州でも少量生産されている。メキシコ系とグアテマラ系の交配種[28]
  • ピンカートン種 – 脂肪分が多く大玉になる。果皮は深緑で耐寒性は弱い。果実の日持ち性は良い。イスラエルでシェア11%、南アフリカでも8.5%を占める。グアテマラ系[28]
  • リード種 – 球形の果実をつける。大型で食味は濃厚。ハス種よりさらに日持ち性は良い。耐寒性は弱く、イスラエルで少量生産されている。グアテマラ系[28]

以上のように南アフリカ、イスラエル、スペインでは、複数の品種が見られる。

出典[編集]

  1. a b c d e f g h “隠れた水 世界水の日報告書2019”. WaterAid. 2021年2月28日閲覧。
  2. a b c d e f g h i j k l m n o Saki Takeuchi (2019年6月6日). “メキシコのアボカド問題:麻薬密輸集団に抵抗する産業”. globalnewsview.org. 2021年2月28日閲覧。
  3. ^ Dakin, Karen (1990). “Raíces en ih- y ah- en el náhuatl y la **p protoyutoazteca”Estudios de cultura náhuatl 20: 261–280.
  4. ^ Oxford English Dictionary (2 ed.), Oxford University Press, (1989)
  5. ^ 米本(2007)42頁
  6. ^ 渡辺庸生『魅惑のメキシコ料理』58頁。
  7. ^ 米本(2007)160-161頁
  8. ^ 高嶋典子「アボカドペーストを使った高栄養レシピ」『緩和ケアと栄養』54-57頁
  9. ^ 宮城尚史、宮城香珠子『アボカド三昧』2013年
  10. a b c 食品工業編集部(2012)「日本への拡大図るニュージーランド産アボカド」『食品工業』2012年1月15日号、75-79頁
  11. a b 米本(2007)27頁
  12. ^ 米本(2007)167-168頁
  13. ^ 米本(2007)117-121頁
  14. ^ 米本(2007)37-74頁
  15. a b 米本(2007)66-71頁
  16. a b c d e 米本(2007)66-75頁
  17. ^ 米本(2007)67頁
  18. a b c “Avocados, raw, all commercial varieties, per 100 grams”. NutritionData.com (2013年). 2013年4月17日閲覧。
  19. ^ 米本(2007)13-17頁
  20. ^ Howard, Jacqueline. “Avocados: History of an unlikely healthy food craze”. CNN. 2020年1月8日閲覧。
  21. ^ 米本(2007)24-25頁
  22. ^ Avocado Intake, and Longitudinal Weight and Body Mass Index Changes in an Adult Cohort Celine Heskey, Keiji Oda, and Joan Sabaté, Nutrients. 2019 Mar; 11(3): 691. Published online 2019 Mar 23. doi:10.3390/nu11030691
  23. ^ Avocado consumption is associated with better diet quality and nutrient intake, and lower metabolic syndrome risk in US adults: results from the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 2001–2008 Victor L Fulgoni, III, Mark Dreher, and Adrienne J Davenport, Nutr J. 2013; 12: 1. Published online 2013 Jan 2. doi:10.1186/1475-2891-12-1
  24. ^ Evaluation of symptomatic slow-acting drugs in osteoarthritis using the GRADE system Olivier Bruyère, Nansa Burlet, Pierre D Delmas, René Rizzoli, Cyrus Cooper,5 and Jean-Yves Reginster, BMC Musculoskelet Disord. 2008; 9: 165. Published online 2008 Dec 16. doi:10.1186/1471-2474-9-165
  25. a b Metabolic Effects of Avocado/Soy Unsaponifiables on Articular ChondrocytesLouis Lippiello, Joseph V. Nardo, Robert Harlan, and Tiffany Chiou. Published online 2007 Oct 10. doi:10.1093/ecam/nem132
  26. ^ Management of Osteoarthritis with Avocado/Soybean Unsaponifiables Blaine A. Christiansen, Simrit Bhatti, Ramin Goudarzi, and Shahin Emami, Cartilage. 2015 Jan; 6(1): 30–44. doi:10.1177/1947603514554992
  27. ^ Lipid-Rich Extract from Mexican Avocado Seed (Persea americana var. drymifolia) Reduces Staphylococcus aureus Internalization and Regulates Innate Immune Response in Bovine Mammary Epithelial CellsMarisol Báez-Magaña, Alejandra Ochoa-Zarzosa, Nayeli Alva-Murillo, Rafael Salgado-Garciglia and Joel Edmundo López-Mezacorresponding. Published online 2019 Sep 12. doi:10.1155/2019/7083491
  28. ^ Avocado Fruit on Postprandial Markers of Cardio-Metabolic Risk: A Randomized Controlled Dose Response Trial in Overweight and Obese Men and Women Eunyoung Park, Indika Edirisinghe, and Britt Burton-Freeman, Nutrients. 2018 Sep; 10(9): 1287. Published online 2018 Sep 12. doi: 10.3390/nu10091287
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